今年は玄関に竹上妙さんの新刊『みたらみられた』(アリス館)を飾ってお正月を迎えました。まもなく刊行です。
とくに2020年は月とコンパスからの最初の出版物、近藤康平さんの初画集『ここは知らないけれど、知っている場所』刊行にあたって、初めての経験がたくさんありました。例年以上に多くの方のお力をお借りして、感謝しかありません。
屋号の輪郭もより明確になってきたように思います。月は地球上の誰にも見ることができて、日々変化しつつも普遍的な存在。出版社としての理想です。一方、コンパスは文房具のコンパスで、フリー編集者としてのスタンスです。自分の軸を大切にしつつ、いつも誰かとともに大きな円を描いていきたい。かつて自分が取材した「ひとり出版社」とは少し違っているけれど、この両輪でいくのが今の自分らしいかな、と思っています。
出版物の価値は多様で、何が正解なのかすぐにはわかりません。時世もあって、ますますそう感じます。ひとりで何かやろうとすればするほどひとりではいられない。だからこそ小さなご縁を大切に、確かな円を描いていけますように。
本年もご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
西山雅子